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ホームᐳ診療科ᐳ循環器・心臓外科 専門外来
当院は犬の僧帽弁閉鎖不全症において、一般的な検査・内科治療から外科手術(開心術)までを一貫して行える、国内でも数少ない動物病院です。
僧帽弁閉鎖不全症の外科手術は心臓を止めた状態で行う手術(開心術)です。動物の体を人工心肺につなげて体外循環を確保することで、心停止した状態で手術を行うことができるようになります。
当院では腱索再建と弁輪縫縮の組み合わせを行う僧帽弁形成術によって、僧帽弁閉鎖不全症の根治治療を目指しています。僧帽弁を元の正しい位置関係に修復したり(腱索再建)、拡大した心臓の弁輪部を巾着袋のように縫い縮めたりします(弁輪縫縮)。
動物の手術の中ではかなり大がかりではありますが、無事に手術を乗り越えることができれば平均余命10か月とも言われる心臓病を克服し、寿命を大きく伸ばすことが可能です。以前のように、思う存分走ったり遊んだりすることもでき、投薬も不要になります。
症例に応じて手術のメリット・デメリットは異なるため、詳しくは獣医師に相談が必要です。
また当診療科では、手術だけではなく咳や呼吸が早いといった症状の精査や治療、不整脈や先天性心疾患に関するご相談やご質問もお受けしています。わんちゃん・ねこちゃん問わず、お気軽にお問い合わせください。
僧帽弁閉鎖不全症は高齢の犬で最もよく見られる心臓病です。
左心房と左心室の間にある仕切り(僧帽弁)が閉じきらず、心臓内で血液が逆流してしまうことでうっ血を起こし、最終的に心不全に至ってしまう病気です。心不全に至ると肺に水がたまってしまい呼吸困難を引き起こすため、緊急治療が必要になります。
一般的には強心剤や利尿剤などのお薬を、症状に応じて服用する内科治療が行われます。肺水腫を起こした犬の平均余命は、およそ10ヶ月と言われています。
肺水腫のレントゲン

肥大型心筋症は高齢の猫で最もよく見られる心臓病で、自覚症状がない猫の約7頭に1頭の割合で認められるといわれています。診断時の年齢には幅があり、若くても発症することがあります。高血圧症や甲状腺機能亢進症などが原因で発症することもあります。
心臓の壁が厚くなることで十分なポンプ機能が保たれなくなり、最終的に心不全に至ってしまう病気です。
合併症の一つに大動脈血栓塞栓症があり、後ろ足が突然動かなくなってしまうのが代表的な症状です。
心筋症の初期は聴診などの一般的な身体検査のみで診断がつくことは少ないため、定期的な健康診断・検査が大切になります。
心原性肺水腫の猫の胸部レントゲン画像

動脈管開存症は犬の先天性心疾患で最もよく見られ、特徴的な心雑音が聴取されます。
動脈管(胎仔期に存在する、肺動脈と大動脈をつなぐ血管)が産まれてからも閉じることがなく、最終的に心不全を起こしてしまう病気です。
子犬のうちに手術をすれば寿命を全うできますが、診断・治療が遅れると手術不適応となってしまい、生後数年で亡くなってしまうことが多いです。
手術前(カラーモザイク状に見える部分が動脈管の血流)

手術後(動脈管の血流が消失している)
